松 村 貴 志
2020年初頭より世界中に広がり人命や経済に多大な影響を与えた新型コロナウイルス感染症も一定の落ち着きを見せ「afterコロナ・withコロナ」の時代へと移り変わってきております。この時代の流れの中で、今までの社会的常識も変化し人々の生活も感染拡大前とは大きく変わったものになりました。しかしいまだに世間が落ち着きを取り戻したとは言えず、ロシア・ウクライナの戦争や物価の上昇、大幅な円安などの問題が山積しており社会には漠然とした不安感が蔓延しております。
このような不安要素の多い時代だからこそ、青年経済人である私たち青年会議所が立ち上がるべきではないでしょうか。メンバー一人ひとりが、自分の地域の発展のために何ができるのかを考え、未来に向けて行動していくことが、明るい豊かな社会を作り上げていく礎になっていきます。時代に合った方法を模索し事業を展開することは困難も伴うかもしれません。しかし困難の中で行動を起こすことが人々に感動を与え、団体としても自分自身にも大きな成長をもたらしてくれるのです。私たちは「修練・奉仕・友情」というJC三信条の下、地域のため、人のため、何ができるのかを熟考しながら活動してまいります。。
私が2016年度、四国地区協議会の大会委員長を拝命し、その大会スローガンとして掲げた言葉「結心」。この造語は他者との強いつながりを意味します。本年度、私の原動力とも言えるこの言葉を再度掲げ今の時代、今の地域に合った方法で一年間活動してまいります。
私は自然にあふれるこの街で温暖な気候の中、温かい人々に囲まれて育ち豊かな気持ちで過ごすことのできた多くの思い出が心に残っています。これまで様々な街で暮らしてきましたがこの街の思い出を忘れられず、年少期を過ごしたこの街に戻ってきました。年少期に感じたその風土は現在も変わらずに存在し続けており、私はJC活動を行ううちにこの風土こそがこの地域の魅力であり誇りであることに気づかされました。しかしこの魅力は、この街に暮らす人々の共通認識として存在しているでしょうか。思い出が人によって違うように、魅力を感じる場所にも違いがあって当然です。私たちは活動を通じて、自分が誇る街の魅力を内に留めるだけでなく今一度思い起こすことで地域内外を含めた共通認識として周囲に伝えていき、その魅力を後世に残していくための行動を起こしていかなければなりません。
私たちは自分が暮らす街の魅力を再発見し街の内外に発信することで、地域住民が誇りを持って暮らし続けることのできる街づくりを行います。そして地域の未来を見据え、ともに発展し続けるために行動していきます。
本年度、それらを楽しみながら学べる機会を作り、次世代を担っていく子供たちの健やかなる成長のためにメンバー一丸となって尽力してまいります。
青年会議所とは「機会の提供の場である」と言われます。人間が成長するための「修練」の機会であり、社会のために「奉仕」を行う場を提供し、一生を共にする友人との「友情」を育む場でもあります。青年会議所メンバーとして夢を語り合い実現に向けた活動を行い、それに伴った役職を担う中で自身が経験していき、個人個人の力を高めることで人財としての可能性を広げていく。これこそが青年会議所だからこそ可能な人財の育成と言えるでしょう。その成長の中でメンバーがともに笑い合い友情による強い結束力を持つことで青年会議所が団体としても成長し、これまで以上に地域に影響を与える団体となっていくのです。
また、自分たちのみならず地域の子供たちや青年会議所が関わる全ての人たちに対しても「機会の提供」を行うことができます。地域住民、特に青少年に向けての活動を行うことで、青年会議所外に対しても未来に向けた人財の育成を行うことができるのです。今まで培ってきた地方行政団体や教育機関との繋がりを持って、地域全体に夢を語り実現できる人財を増やしていきましょう。次世代に私たちの行動に共感し行動してくれる仲間を増やすことが、青年会議所と地域の人財をより一層結束させていくのです。
私たちは活動を行う中で機会を提供することによりメンバーはもとより地域全体に、ともに夢を語り実現できる人財を増やし協力して地域に大きな行動力を創造していきます。
本年59年目を迎えた(公社)宿毛青年会議所はこれまでの長い歴史のの中、先輩諸兄の弛まぬ努力のもと、常に地域に寄り添う団体として存在し続け、地域からの強い信頼を勝ち取っております。この価値のある組織を、私たちはより良い形で未来へ繋げていくために行動を起こさねばなりません。
まずは、来年訪れる60周年へ向けての準備が必要です。その準備の中で大切となるのが、これから訪れる未来に向けての明確なビジョンを持つことと、思い描いた事業を行うためのマンパワーの確保となります。60周年という大舞台を前に私たちの同志を増やし同じ目標に向かって切磋琢磨していくことが60周年だけでなく、その先の未来に組織としての大きな躍進を果たすために重要となるのです。
次に必要となるのが、運営しやすい組織改革です。先述の通り、会員数の拡大は必須条件となりますが、役職の兼任が常態化している現状、個人個人への負担軽減も大きな課題となります。そのために組織を運営面から再度検証し、今の時代へ合った組織へと最適化していきます。その上で、青年会議所メンバーでなければならないという概念にとらわれず、他の組織や団体、個人からも協力を得ることのできる組織体制を作り上げる必要があるのです。
私たちは志を同じくする仲間を増やし存続し続けるための組織改革を行うことで、これからも地域をよりよくする事業を行い続けてまいります。
(公社)宿毛青年会議所が活動する宿毛市、大月町、三原村は少子高齢化や人口減少、また近年の社会情勢の変化による地域の経済活動の縮小が大きな問題となっています。市を隣する四万十市、黒潮町を活動拠点としている(一社)中村青年会議所も同じ問題を抱えており、この二つの青年会議所はこれまでも長い歴史の中で互いの問題を共有しながら友情を育んできました。この友情を未来に繋げ、これまで以上に強い絆で結びつくために幡多JCとしての交流の機会を増やしていかなければなりません。
私たちはそれぞれの青年会議所の協力関係をより強固にし、互いに力を合わせることにより幡多地域の明るい未来を目指していきます。
(公社)宿毛青年会議所が発足させた「すくもやけん夏」に端を発する市民祭宿毛まつりは、宿毛市における秋の恒例行事となっております。自粛ムードの強かった2020年度は残念ながら中止となりましたが、花火の打ち上げのみ行った2021年度、各団体の大会も絡めて屋台の出店も行えた2022年度と、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で通常規模での開催を模索し、徐々に実現してきています。コロナ禍では忌避されていた「人が集まるイベント」が地域住民の皆様からご理解を得て行えるのはひとえに、宿毛市民に必要とされる集いの場として定着しているからでしょう。
私たちは本年も市民祭宿毛まつり実行委員会に人財を出向することにより、地域住民の集いの場である秋のお祭りをこれまで以上に魅力あふれるイベントへと昇華していきます。
高知ブロック協議会は、日本青年会議所また四国地区協議会の運動を高知県の各会員会議所へと伝達するとともに、各会員会議所同士の情報交換や交流の場を提供する役目を担っています。しかし現在、高知ブロック協議会は全国で最も会員数の少ないブロックであり、その数は年々減少しております。その中で高知ブロック協議会は、LOM同士の強固な関係性を作り上げ協力し合うことでそのハンデを補ってきました。これからも一致団結し、強い組織を作ることで全国に誇れる高知県をアピールしていかなければなりません。
私たちは(公社)宿毛青年会議所メンバーを出向することにより高知ブロック協議会の運動をより良いものに高め、少ないメンバー数でも高知県の発展に寄与できる組織であるよう、支援してまいります。
私たちは40歳までという期限の中で青年会議所活動を行っています。この限られた期間があるからこそ、必死になって地域を良くする運動に取り組むことが出来るのです。これまでの(公社)宿毛青年会議所を作り上げてくれた先輩諸兄や、活動に理解を示してくれる家族や会社に感謝し、明るい豊かな社会の実現という結果をもって、その恩返しをしていきます。
これからも日本という国にとって、また私たちの地域にとって難しい時代は続くかもしれません。しかし行く先の見えない雲の中でも、その先を模索し努力を続ければ必ず雲の外に出ることが出来るのです。「雲外蒼天」の基本理念のもと、未来を明るいものにするために団結し、課題に取り組んでまいりましょう。メンバー一人ひとりが当事者意識をもって自己研鑽し、雲を抜けるための努力をすることが、私たちの地域に青い空を広げる結果へとつながっていきます。
〜これから広がる未来に向けて〜